マーラーの10番 -作曲者の思い-

4月27日 サントリーホール
読売日本交響楽団
指揮:ルドルフ・バルシャイ
曲目:マーラー/交響曲第10番(バルシャイ版)

全体的に、マーラーという感じはあまりしなかった。それもそのはず。この10番は未完成交響曲であり、後にクックらによって補筆されたものなのだ。この補筆というのは編曲とは違い、マーラーの構想や雰囲気を損なっていないはずなのだが、やはり何かが違う。第2楽章の、短調でありながら勇壮さを表現するあたりはマーラーらしいのだが…。第5楽章になると、最近お疲れ気味なこともあり、少しうとうとしてしまった。

交響曲第10番は、全5楽章のうち完成していたのは第1楽章のみであり、それ以外は、マーラーの遺した全体の構想と断片的な記述から音を補って作り上げられている。もちろん、勝手に音符を書き入れたのではなく、マーラーの人となりやこれまでの曲などを研究し、彼ならばこうしたであろうという推定の元にこの作業は行われた。だから“補筆”なのだ。もっとも有名な補筆はクックによってなされた。クックは作曲家ではなく、音楽学者である。だからこそ、自分の思いを込めずにマーラーの思いに忠実な補筆をすることができたのだろう。

そのクックの補筆を元に音色に深みを加えたのが、今日の指揮者でもあるバルシャイである。2000年完成と、もっとも新しい補筆作品だ。いや、バルシャイの解釈が加わっているのだから、これは編曲といってもいいかもしれない。
それはさておき、やはり、作曲者その人が指揮をするというシチュエーションは格別だ。とくにクラシックの場合は作曲者のほとんどが亡くなっており、そのような場面にはめったに出会えないのだから。もちろん、後世の優秀な指揮者によって、作曲者本人も気づかなかった魅力が発見される場合もあるだろう。しかし、作曲者本人の純粋な思いをこそ、聴いてみたいものだ。

次回予告:5/16 ニールセン/交響曲第4番「不滅」

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